ニューハート・ワタナベ国際病院の教育プログラム

教育プログラムのご紹介

ニューハート・ワタナベ国際病院で、若手心臓外科医が育っています。一外科医の成長過程を供覧したいと思います。

ニューハート・ワタナベ国際病院では次世代を見据え若い外科医を養成しています。心臓外科医の養成は臨床レベルを下げずに世界最高峰の技術を学び、圧倒的な症例数を経験することと、ノウハウを積み上げることによって、安全にレベルの高い外科医を教育できるのです。

現41歳の心臓外科医 木内竜太医師は大学病院や関連病院などで一般外科や胸部、心臓、血管外科のトレーニングを積み、2014年ニューハート・ワタナベ国際病院に入りました。

2014年以前は執刀件数は20件程度でした。その後、私や、副院長と共に年間400例以上の多くの症例をともに経験してきた中で、開胸、人工心肺装着、止血閉胸という一連の心臓本体の手術以外の周辺技術を完璧にし、その習熟度を所用時間で評価した結果が以下です。

木内医師が2014年より2016年までに私と共に第一助手や執刀医として行ってきた症例にかかる開胸、人工心肺装着、止血閉胸の総時間は、2016年後半より急速に短縮しています。また自身が執刀する機会が急増した2018年には自身の執刀症例の心停止時間も飛躍的に短縮し、又同時に再開胸止血症例はほとんどない状況でした。

ここのデータを読み解くとわかることは、手術手技時間の短縮(つまり習熟)はなだらかなカーブと共に短縮するのではなく、“ジャンプアップ”と称するようにある時点で急速に良くなるという事を示しています。私がドイツ留学中に自分自身で経験したような、あるいは同僚ドイツ人医師がチーフレジデントを1〜2年経験する中であるとき突然うまくなる現象は再現可能だったんだと今回の結果を見て確信を得ました。“集中的研鑽”はあるタイミングで“一気に結果として表れる”のです。

もちろん誰にでも可能なプログラムではありません。まずは木内医師が資質のある心臓外科医であることが前提です。
しかし、毎日同じメンバーの外科医で、同じ方法で心臓手術を行い、手順も起こりうることもすべて体に染みついてこそ可能になるこのプログラムは現在ニューハート・ワタナベ国際病院以外では難しいでしょう。それは、多くのハイボリュームセンターには外科医も多いために集中して毎日たくさんの手術に入ることが困難であることと、ここが一番のポイントですが “優れた手術を見なければ良い外科医になれない”と言うことに尽きます。(総長 渡邊剛)

木内竜太医師の自己紹介

心臓手術(ニューハート・ワタナベ国際病院)
41歳男性医師(経歴・資格は下段参照)。開院と同時にニューハートへ異動。当初よりほぼすべての手術に関わる機会を頂きました。特に渡邊総長執刀の開心術においては、開胸に始まり人工心肺の確立、心停止中の渡邊総長の前立ち、大動脈遮断解除後の人工心肺離脱、止血、閉胸処置を一手にお任せ頂いて参りました。

開院1年目の2014年度は総手術数213例中渡邊総長執刀の25例のサポートをさせて頂きました。上半期の大動脈遮断時間(総長の手技時間)は平均55分で、その前後の時間(開胸、人工心肺確立、人工心肺離脱、止血、閉胸の合計時間で、ここが私の手技時間)は平均150分、下半期は平均大動脈遮断時間58分で前後時間は平均144分でした。

2015年度は総手術数364例中渡邊総長執刀の114例をサポートさせて頂き、上半期は平均大動脈遮断時間66分、平均前後時間152分、下半期は平均大動脈遮断時間60分、平均前後時間は138分と前年度と大きな変化を認めませんでした。

2016年度は総手術数424例中渡邊総長執刀の131例をサポートさせて頂き、上半期は平均大動脈遮断時間62分、平均前後時間149分、下半期は平均大動脈遮断時間59分、平均前後時間は131分でした。上半期から下半期にかけて、私のおこなう前後時間が20分近く短くなり、自分自身でも手術時間が短くなってきたことを感じ始めました。

2017年度は総手術数433例中渡邊総長執刀の138例をサポートさせて頂き、上半期は平均大動脈遮断時間58分、平均前後時間108分、下半期は平均大動脈遮断時間64分、平均前後時間102分でした。前年度より上半期で20分以上短くなり、さらに下半期でも若干短くなり、明らかにスピード感が向上したと認識できるようになりました。

2018年度上半期は総手術件数239例中、ほぼお任せいただいた90例で、平均大動脈遮断時間は49分、平均前後時間は97分とさらに短縮しました。

以上から、2016年秋頃より徐々に前後時間が短縮し、2018年には開院初年度に比べ遮断前後時間が1時間近く短くなったということです。すなわち、開胸から人工心肺確立のための送脱血管のカニュレーション、さらには人工心肺開始から大動脈遮断を得るまでの心筋保護カニューレ挿入等々の一連の動作が手早くなったことに加え、さらには人工心肺離脱に対しても経験を積むことにより素早く離脱タイミングを見切れるようになったこと、また止血、閉胸に関しても自分自身の手順が確立され無駄な動作が無くなったためではないかと推察します(グラフ①参照)。

グラフ①遮断前後時間の推移
グラフ①

次に私自身が執刀をお任せいただいた症例に着目すると、2014年度が3例で平均大動脈遮断時間は67分でした。2015年度は執刀数25例で、平均大動脈遮断時間は上半期が64分、下半期が62分でした。2016年度は執刀数59例で、平均大動脈遮断時間は上半期が63分、上半期が60分でした。2017年度は執刀数127例で、上半期も下半期も平均大動脈遮断時間は59分でありましたが、それが2018年度上半期は49分と著明な短縮を認めました。遮断前後時間は2016年頃より短くなってきていたのですが、遮断時間に関しては2018年度に入り短縮を認めました。当然、遮断時間中の手技は執刀医がおこなうものになるため、2018年になりnがようやく積み重ねられ、手技がある程度習熟されてきたのではないかと推察します(グラフ②参照)。

グラフ②遮断時間の推移(ニューハート・ワタナベ国際病院)
グラフ②
木内 竜太 医師(41歳)

経歴
2002年 金沢大学医学部卒業
金沢大学心肺・総合外科 入局
2003年 横浜栄共済病院 胸部心臓血管外科
2004年 福井県立病院 心臓血管外科
2005年 厚生連高岡病院 消化器外科
2006年 厚生連高岡病院 胸部外科
2007年 富山赤十字病院 心臓血管呼吸器外科
2008年 厚生連高岡病院 胸部外科 医長
2010年 金沢大学心肺・総合外科 医員
2012年 金沢大学心肺・総合外科 助教
2014年 ニューハート・ワタナベ国際病院
2016年 ニューハート・ワタナベ国際病院 心臓血管外科副部長

資格
医学博士
日本外科学会 専門医
日本外科学会 指導医
日本心臓血管外科学会 専門医
日本心臓血管外科学会 修練施設指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本脈管学会 脈管専門医
大動脈ステントグラフト機種別指導医
日本血管外科学会認定血管内治療医