2023年11月4日発行「日本医事新報」にウルフ-オオツカ法に関する特集記事が掲載されました

2023年11月4日発行の「日本医事新報」No.5193に、副院長の大塚俊哉医師が執筆した特集記事「特集:胸腔鏡下心房細動手術 ウルフ-オオツカ法(P.18-39)」が掲載されました。

以下の様な内容を解説しております。さらに詳しくご覧になりたい方は、日本医事新報社 公式サイト をご確認ください。

1 心房細動は何の病気か?

・心房細動はわが国だけで罹患者数が推定100万人以上と言われる国民病である。いわゆる絶対性不整脈と呼ばれる「心臓の病気」である。心拍数をうまく制御できなかったり,心機能を抑制する抗不整脈薬を長期間服用したりすると,心拡大や弁の逆流が徐々に悪化して心不全になる可能性がある。

・致死率の高い血栓性脳梗塞を起こすため「脳の病気」であるとも言える。

2 問題点をどのように解決するか?

・不整脈に対しては患者に適した抗不整脈薬を使用した心房細動の抑制(リズムコントロール),慢性症例には頻脈化しないように心拍数を制御する(レートコントロール)保存的治療がまず行われる。

・保存的治療が限界となったり,困難となったりした場合に,観血的リズムコントロール治療(アブレーション治療)が選択される。

・血栓性脳梗塞予防治療として,抗凝固治療(ワルファリンや非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬使用)が行われるが,治療が困難な患者には左心耳閉鎖術が適応となる。

3 ウルフ-オオツカ法とは?

・米国の心臓外科医であり,筆者の臨床留学時の師である,ランドール・ウルフ医師が開発した「ウルフ・ミニメイズ」と呼ばれる低侵襲手術法を基本とする。脈の治療として,肺静脈隔離を中心とした外科的アブレーションを行い,血栓性脳梗塞予防として左心耳切除術を行う。

・筆者は,内視鏡下手術テクニックを最大限に駆使し,ウルフ・ミニメイズを,さらに低侵襲な術式であるウルフ-オオツカ法に進化させた。

4 ウルフ-オオツカ法を カテーテル治療と比べると?

・経皮的カテーテルアブレーションと比較した利点:①心外膜側(心臓の外側)から神経節叢を含む広範囲の組織を電気的隔離する,②左心耳を必ず切り取る。

・経皮的左心耳閉鎖デバイス(わが国ではWATCHMANTM)移植法と比較した利点:①左心耳のサイズや形状を選ばずに閉鎖できる,②抗凝固治療からの離脱がより確実で速やかである,③副次的効能がある,④医療コスト面でも優れている。

 

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大塚俊哉 (ニューハートワタナベ国際病院副院長/ウルフ-オオツカ低侵襲心房細動手術センター長)
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