内分泌外科の特徴
甲状腺疾患、副甲状腺疾患を中心に内分泌腫瘍を扱います。
甲状腺疾患は甲状腺癌、バセドウ氏病、良性甲状腺腫瘍など、副甲状腺疾患は副甲状腺機能亢進症、副甲状腺腫瘍などです。
甲状腺に対するロボット手術によって、首に傷が全く残らない、整容性に優れた手術が可能です。
従来の通常手術においても、手術の質を保ちながら体に優しい小さな傷で行っています。
女性の身体に優しいロボット甲状腺手術
甲状腺がんなどの甲状腺疾患はもともと女性に多い疾患であることから、手術でできる首の傷を極力最小にする方法や他の部位から患部にアプローチする手術方法の開発が行われてきました。
ロボット手術では「傷を小さく」「首ではなくわきの下から患部にアプローチ」することで、患者さんの身体、特に女性の方への負担を大きく減らすことができます。
甲状腺がんロボット手術のご紹介
術式名:腋窩アプローチによるロボット支援下甲状腺切除術
患者さんの脇の下に数センチ皮膚切開をし、皮下を剥離して甲状腺に到達します。
そのあとda Vinci Surgical System(Intuitive Surgical社、米国)を導入しロボット支援下に甲状腺切除を行います。
通常の甲状腺手術と異なり、首には傷はなく、脇の下のみに傷があることになります。
脇の下の傷は手を下してしまえば外からは判らず、プールなどでもほとんど気づかれない傷になります。
これまでの手術と甲状腺がんロボット手術
これまでの手術
これまでの甲状腺切除術は首の前部を5〜10㎝横に切開し、さらに甲状腺を露出するために皮下を大きく剥離する必要があります。 現在、外科手術は全般的に患者さんの負担を少なくする方向へ進んでおり、内視鏡手術の進歩はすべての領域で目覚ましい発展を遂げ、標準の手術方法として認められてきている領域も少なくありません。
その中で甲状腺手術は内視鏡手術の導入が遅れている領域の一つと言わざるを得ない状況です。
その理由として、甲状腺が体腔内に存在する臓器ではなく、まず手術する部分を作成してから初めて甲状腺切除術が始まること、さらに甲状腺自体が血流に富む臓器であり周囲には頚動静脈・反回神経を代表とする重要な臓器が隣接していることなどが挙げられます。
しかしながら手術支援ロボットを用いることで、これらの問題を克服することができるのです。
甲状腺がんロボット手術
繊細で高度な操作
ロボット手術のメリットは通常の内視鏡手術に比べて、さらに繊細で高度な操作を行えることにあります。コンピュータ制御された多自由度鉗子、高解像度立体画像を提供する映像システム、術野・アームの安定性に代表される手術支援ロボットの機能は内視鏡下での繊細な3次元的剥離、縫合結紮を可能にします。
これまでの問題を克服
内視鏡下甲状腺切除術はその手術する部分の狭さ、限定された鉗子挿入角度、内視鏡鉗子の自由度の不十分さから、甲状腺周囲の剥離、反回神経周囲の繊細な操作、リンパ節の切除(郭清)が十分に行えないという問題を抱えており、特に癌の手術におけるリンパ節の切除(郭清)において十分な根治性が追及できない面がありました。
内分泌外科 対応する主な疾患
手術・検査について
手術について
- 通常の甲状腺および副甲状腺切除術
-
頚部に数cmの皮膚切開をおき、甲状腺や副甲状腺の切除手術を行いすます。
- ロボット支援下甲状腺切除術
-
脇(腋窩)に数cmの皮膚切開をおき甲状腺に到達、切除は脇から挿入したロボット鉗子にて行います。術後の創は脇にしか残らず美容的にも優れたものとなります。
検査について
- 超音波検査
-
甲状腺腫瘍などの質的診断の目的に施行します。
- 超音波ガイド下穿刺細胞診
-
甲状腺腫瘍の病理診断目的に行います。入院は必要としません。
- CT検査
-
甲状腺腫瘍などの質的診断、病気の広がり(転移など)の診断目的に施行します。
- 採血検査
-
甲状腺ホルモン値などの検査目的に施行します。