冠動脈バイパス手術(小切開・ロボット手術)
執刀医の技術、経験数がものを言う冠動脈バイパス手術
冠動脈バイパス手術は、心臓手術の中でもっとも多く行われる手術です。
狭くなった心臓の冠動脈に、体のほかの部分から採ってきた血管をつなげて迂回路を作ります。
胸、胃、手、足などの血管を使うのが一般的ですが、直径2㎜の血管を1.5㎜の血管につなぐ細かい作業であることから、手術の出来不出来は執刀医の腕によって天と地ほどの差があります。
- 手術後の退院までの日数:3〜10日間
- 保険適応
高い技術と豊富な執刀数
手術時間が長くなると合併症を加速度的に増加させるため、スピードも要求されますが、チーム・ワタナベには、高い技術と豊富な経験があり、他とは比較にならないスピードでの手術を実現しています。
さらにチーム・ワタナベでは、傷が小さい「小切開手術」や、手術支援ロボット「ダビンチ」での「完全内視鏡下心拍動下冠動脈バイパス術(TECAB)」という手術を手がけ、体や心臓への負担が小さい手術を推進しています。
小切開冠動脈バイパス術
MIDCAB~小切開手術での冠動脈バイパス手術は傷が小さく、体や心臓への負担が軽い手術です。
チーム・ワタナベの小切開手術での冠動脈バイパス手術は、手術支援ロボット「ダビンチ」での内視鏡手術の技術を応用し、他の病院とは次元の違う冠動脈バイパス手術を実現しています。
冠動脈バイパス手術での小切開手術のメリット
- 小さい出血量が少ない、痛みが少ない、傷が小さい
- 早い手術が早く終わる
- 戻れる手術後早くもとの生活に戻れる
- 残らない傷が胸の真ん中に残らない
骨も神経も血管も切らず、肋骨の間もこじ開けないので、傷が小さく、体や心にも負担をかけない、優しい手術方法です。
次の画像を見比べていただけると傷の大きさの違いが分かると思います。
また、小切開手術は正中切開と比べて出血が少なく、肋骨感染のリスクもありません。術後の運動制限もなく、早期のリハビリが可能で、社会復帰までの期間が短いのが特長です。
2本バイパス以上の小切開手術(MIDCAB)の例
人工心肺を使わない、オフポンプバイパス手術(心拍動下冠動脈バイパス手術、Off-pump CABG = OPCAB)
冠動脈バイパス手術には、人工心肺装置を使用せずに心臓を動かしたまま行う「オフポンプ(Off-pump) 」と、人工心肺装置を使用して心臓を止めて手術を行う「オンポンプ(On-pump)」の2つの方法があります。
オフポンプ冠動脈バイパス手術は、渡邊剛らが1993年に日本で最初に行って広めた方法で、当院のチーム・ワタナベは30年以上の実績があります。オフポンプ冠動脈バイパス手術は、心拍動下冠動脈バイパス手術、Off-pump CABG、OPCABとも呼ばれています。
この方法が日本で標準手術となった現在でも、日本全体での成績は98%(死亡率2%)※1と宜しくありませんが、チーム・ワタナベのオフポンプ冠動脈バイパス手術は、「99.6%」という成績を残しています。
※1 日本胸部外科学会の2018年のデータより
※2 詳細は、当院の診療実績ページへ
15年以上経っても輝きを失わないバイパス手術
冠動脈バイパス手術後16年経過したカテーテル検査の映像
内胸動脈を縫合
胃大網動脈を縫合
橈骨動脈を縫合
手術後、最短3日後退院が可能
「完全内視鏡下心拍動下冠動脈バイパス術(TECAB)」
手術支援ロボット「ダビンチ」を用いて「完全内視鏡下心拍動下冠動脈バイパス術(TECAB)」という手術を狭心症・心筋梗塞への手術に対しても実施しています。
内視鏡だけで行う正確な手術ですので、傷も小さな穴のみで済み、手術後は最短3日で退院することも可能です。
完全内視鏡下心拍動下冠動脈バイパス術(TECAB)での手術
冠動脈バイパス手術のリスクについて
冠動脈バイパス手術では通常以下のようなリスクが考えられます。
- ・正中切開行った場合の正中創感染
- ・脳合併症
- ・術後不整脈
- ・出血
- ・心不全
これらのリスクに対し我々は正中切開を避ける手術「小切開手術」「内視鏡手術」を考案し海外一流の雑誌に投稿してきました。
脳合併症については、人工心肺を使わないオフポンプ手術を行うことで予防します。
問題となるのはオフポンプ手術の最中に心不全や心停止等の恐ろしい合併症が起こる事ですが、我々は常に人工心肺をスタンバイしていますので安全に行うことができます。
また手術が早く終わりますので出血の合併症も少ないです。