心臓弁の機能を取り戻す心臓弁膜症の手術
弁膜症の手術がどのような術式になるかは弁膜症の状態、患者さんの年齢、合併疾患などから総合的に医師が判断し、患者さんと十分に相談の上、決定します。
- 手術後の退院までの日数:5~10日間
- 保険適応
僧帽弁形成術は通常の弁置換と異なり高度な技術が必要ですが一方、自己の弁を使えるために抗凝固療法(ワーファリンなど)の服用義務がないことと、感染症や血栓症のリスクが低下します。リウマチ性の弁膜症の一部では弁置換になりますが、事前の検査で僧帽弁形成術が可能と私たちが判断した場合、ほぼ100%手術では形成術を行うことが出来ます。また、正中切開よりも小切開手術ならびにダビンチ手術では弁の観察がとても容易で正確な弁形成ができ、良い結果を得ることが出来ます。
- 手術後の退院までの日数:7~10日間
- 保険適応(ダビンチ手術は適応外)
大動脈弁置換術は、ごく普通の心臓手術と思われがちですが、全国平均の手術死亡率は2~3%と高く、決して安全な手術とは言えません。チーム・ワタナベでは手術の安全性を高めるため研究を重ね、さまざまな工夫をしています。たとえば、人工弁の縫合技術を見直すことで手術時間を著しく短縮しました。また大動脈弁の狭い患者さんには「ステントレスバルブ」という特殊な弁を使用します。さらに心停止液の組成や投与法を研究改善し、患者さんの負担を軽減しています。
チーム・ワタナベの小切開手術は、手術支援ロボット「ダビンチ」での内視鏡手術の技術を応用し、他の病院とは次元の違う心臓手術を実現しています。
- 手術後の退院までの日数:7~10日間
- 保険適応(ダビンチ手術は適応外)
自己心膜を使った大動脈弁形成術を小切開で行っております。人工弁はもともとの大動脈弁と比べて弁口面積が小さいため、術後に人工弁の前後で圧較差が生じて狭窄症が残ってしまうケースがあります。形成術の場合、大動脈弁前後での圧較差はほとんどなく、限りなく正常な大動脈弁を取り戻すことができます。抗凝固剤(ワーファリン)の服用が不要なため、歯の治療や大手術を予定している方、出産をひかえた女性にも適用できます。
新しい技術であることから、長期にわたる耐久性は不明ですが、考案者の尾崎教授は5年の経過観察において、ほとんどの患者さんで弁が逆流なく機能していることを報告しています。
自己の心膜をこのように一部切除します。
大動脈弁切除し、採取した心膜を使って元の形に作ります。