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MitraClip®(マイトラクリップ)とは
-経皮的僧帽弁クリップ術 transcatheter mitral valve repair; TMVr -
経皮的僧帽弁クリップ術 MitraClip®(マイトラクリップ)は、僧帽弁閉鎖不全症に対して、僧帽弁の逆流を軽減することを目的とした治療法の1つです。経皮的に治療を行うので傷口が小さく、また人工心肺を使わないため、身体への負担が少ない治療方法です。
MitraClipを使った経皮的僧帽弁クリップ術は、2003年にヨーロッパで初めて行われました。現在では、ヨーロッパや北米を中心に6万人以上の治療実績があり、日本では2015年から治験が行われ、2018年4月に保険適用となりました。ニューハート・ワタナベ国際病院でもこの治療法を受ける事が可能です。
MitraClipの治療の流れ
①足の付け根の静脈からカテーテルを用いて、右心房側から左心房に針を刺して穴を開けます。
②その穴を通して、MitraClip®のデリバリーカテーテルを僧帽弁に挿入し、超音波の画像を見ながら、逆流が減っていることを確認できた所でクリップを留置します。
逆流が十分に減っていない場合には、クリップを違う場所に留置することや追加のクリップを留置することができます。手術時間は平均2〜3時間程です。
現在、行われている僧帽弁の治療について
MitraClipの適応
MitraClipは、外科的手術の危険性が高いと判断された場合に適応となります。具体的には、以下のような方が適応になる可能性があります。
- ・重度の器質性僧帽弁閉鎖不全症(DMR)
- ・機能性僧帽弁閉鎖不全症(FMR)
- ・外科手術が行えない程リスクの高い方
- ・超高齢者
- ・心臓手術の既往がある方
- ・心臓の動きが悪い方
- ・悪性腫瘍の合併がある方
- ・免疫不全の状態
- ・脆弱な方
- ・左心室そのものの障害で逆流の生じる機能性僧帽弁閉鎖不全症
最終的には、循環器内科医、心臓血管外科医、麻酔科医などの多職種からなるチームでカンファレンスを行い、MitraClipの適応を含めた治療方針を決定します。