医療法人社団東京医心会ニューハート・ワタナベ国際病院(本社:東京都杉並区、理事長:渡邊剛)副院長の大塚俊哉医師が行っている胸腔鏡下外科的左心耳閉鎖術が、2022年4月の診療報酬改定により単独手技として、保険収載されることとなりました。
ニューハート・ワタナベ国際病院 ウルフ―オオツカ低侵襲心房細動手術センター センター長の大塚俊哉医師が開発し、2008年から2000例近く経験している「ウルフ―オオツカ法」は人工心肺を使用せず胸腔鏡下(開胸しない)に次の2つの手技を行います。
① 肺静脈隔離等の外科的アブレーションにより心房細動の脈を正常化する
② 血栓ができる左心耳を切り取って閉鎖することにより脳梗塞を予防し抗凝固治療を不要にする
①+②でも1時間~1時間半、②だけならば20分程で終了する「世界最速の超低侵襲心房細動手術法」といわれています。今回新たに保険適用となったのは②のみ行う術式です。(写真A参照) 長期慢性心房細動の患者で抗凝固薬の継続使用が困難な方(高齢者など)が適応となります。大塚俊哉医師は最高齢104歳の患者さんも治療していますが、人口の高齢化に伴い多くの患者が適応となることが予想されます。
写真A:
*写真A:上記②の術式「胸腔鏡下左心耳閉鎖術」で使用できる道具として、ステープラー法(根元で切る)とクリップ法(根元で挟む)の2種類があり、患部の状態によりどちらかを選択する。
同じ目的で保険適用されている内科的デバイス(Watchman™)移植法と比べた利点をまとめると、以下の5項目となります。
- 胸腔鏡手術に熟達した外科医であれば脇の下の3~4カ所の小さな刺し傷から短時間で出血なく完遂できる超低侵襲治療
- 大きなサイズや複雑な形状のもの(血栓が特にできやすい)も含むすべての左心耳の閉鎖が可能
- 心臓内に異物を残さず閉鎖部の内皮下が速やかなため、抗凝固治療離脱の確実性が高く、抗血小板薬の服用も不要
- クオリティの高い左心耳閉鎖による極めて高い脳梗塞予防効果
- 左心耳が無くなることによる降圧効果(高血圧患者が得られる効能)
写真B:
詳しい解説はこちら▶大塚俊哉公式サイト:https://www.fightaf.jp/
【心臓血管外科専門医・医学博士 大塚俊哉について】
ニューハート・ワタナベ国際病院 ウルフ―オオツカ法低侵襲心房細動手術センター長兼副院長。
東北大学医学部卒業後、米国オハイオ州クライスト病院にて心臓胸部外科臨床フェロー留学。東京大学心臓外科助手、講師、都立多摩総合医療センター心臓血管外科部長を歴任し、2020年より現職。
日本の心臓血管外科のトップランナーのひとりとして、米国留学時に師事した心臓・胸部外科手術のパイオニアであるウルフ教授の「ウルフ・ミニメイズ法」に独自の改良を加えた「WOLF-OHTSUKA(ウルフ―オオツカ法)法」が心房細動に対する低侵襲な最新外科治療として高く評価されている。主な著書『心臓は〝切らない手術〟で治しなさい』