バルサルバ洞動脈瘤(SVA)とは
バルサルバ洞動脈瘤とは、上行大動脈の基部にある「バルサルバ洞」という部位の壁が薄くなり、次第に瘤のように膨れてくる心臓の病気です。めずらしい心臓疾患ですが、診断されてから適切なタイミングで外科治療を受ければ成功率のきわめて高い治療が受けられます。
瘤が破裂するまでは無症状のことが多く、健康診断などで見つかる事があります。
バルサルバ洞の場所
バルサルバ洞は心臓から全身へ血液を送り出す大動脈の付け根の部分(大動脈基部)にあります。大動脈と心臓の境目にあり、左右の冠動脈(心臓自体に血液を送る血管)に繋がっています。
バルサルバ洞動脈瘤の原因
バルサルバ洞の壁が薄くなるのはほとんどが生まれつきですが、血管の病気、動脈硬化、感染が原因のこともあります。
バルサルバ洞動脈瘤の症状
動脈瘤は多くの方が無症状で、健康診断などで見つかる事があります。瘤の破裂によって大動脈の血液は右心室または右房に流入し、これによって心臓への血流が増えて心不全をきたします。またバルサルバ洞動脈瘤の一番怖い合併症は急性大動脈解離です。突然の強い胸痛、呼吸困難、うっ血性心不全などのショック状態になるほどの重症から、動悸や息苦しい程度の軽症まであります。
バルサルバ洞動脈瘤の検査
- 胸部レントゲン検査:心臓の拡大や肺のうっ血がないかを調べます。
- 心臓超音波(エコー)検査:大動脈弁の直上に瘤があるかどうか、また血液が大動脈から右心室あるいは右房に異常に漏れていないかどうかを検査します。大動脈弁の逆流、他の心臓病の合併(心室中隔欠損症)の診断も可能となります。
- その他、採血など
バルサルバ洞動脈瘤の治療
こぶのように膨れて瘤になっても心臓の機能にはほとんど影響しませんが、瘤が自然に小さくなるようなことはありません。動脈の圧に耐えかねて破裂すると外科手術が必要です。破裂して緊急手術となるような事態を避け、適切なタイミングで手術を受けましょう。
瘤に引っ張られて大動脈弁輪拡張症と大動脈弁閉鎖不全症が併発している症例や、心室中隔欠損症と合併していることも多く、難易度の高い心臓手術の1つです。経験と確かな技術がないと出血など多くの合併症を起こしてしまうので、熟練した心臓外科医に依頼したほうが良いでしょう。
Bentall(ベントール)手術
上行大動脈瘤のうち、心臓を出てからすぐの大動脈基底部近辺に瘤ができた症例を対象に行う手術で、心臓手術の中でも難しい症例です。大動脈弁閉鎖不全症が併発している場合には病変部を全て切除してから、人工弁輪と人工弁(機械弁)がついた人工血管に置き換えます。これをBentall(ベントール)手術と言います。大動脈基部に対する手術は従来、Bentall(ベントール)手術が標準治療でしたが、大動脈弁そのものに大きな傷や石灰化などがなく健常に近い状態であれば、自己弁を温存する自己弁温存大動脈基部置換術が行われます。
Yacoub(ヤクー)手術とDavid(デービット)手術
自己弁温存大動脈基部置換術には2種類あり、主な違いは弁輪の固定方法と術式です。自己弁を人工血管に縫い付けるのがYacoub(ヤクー)手術、自己弁輪を人工血管で包み込む方法がDavid(デービット)手術です。
外科手術以外の治療法
薬を使って一時的に病気の進行を抑える薬物療法もありますが、バルサルバ洞動脈瘤を根本から取り除くには外科手術が必要です。
手術費用
バルサルバ洞動脈瘤の手術は健康保険が適用され、手術費用の自己負担額は、高額療養費制度の利用で一般的に15万円くらい(70歳未満・年収約370〜770万円の場合)であるケースが多数です。※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。
自己負担額は年収(所得)によって異なりますので、ご加入の医療保険(医療保険者)にご確認・お問い合わせください。手術費用の詳細は、手術費用についてをご覧ください。







